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もう少し治癒力が上がるかも

もう少し治癒力が上がるかも

FT塾講師  神林 一隆

 自然治癒力が働けば、どんな状態でも健康を保つ事が出来る。私達は、そう教わりましたし、事実それは本当の事だと思います。しかし、ここ数年、コロナ禍やウクライナ侵攻など、世界に起こっている出来事が、自分達の健康や生活に、こんなにも影響を与えるのかと認識させられます。臨床の中で、患者さんが自然治癒力を維持する事が出来難くなっているのを感じます。今回は、こんな事をしたら治癒力が上がったという事を書かせて頂きます。

1 左脳と右脳

 「先生、頭がスッキリしないです」こんな訴えを聞く事が多くなりました。仰臥位で寝ている患者さんの頭上に位置して、患者さんの後頭部に両手を当てて頭を持ち上げると、手に重さが伝わって来ます。しかも、脳の左半球と右半球の重さが違う事も以前より増えました。ストレスやくたびれにより、頭部から頸部にかけての血液やリンパの流れの不良、筋の過緊張、脳脊髄液のバランス等も崩れている可能性があります。
気が上に上がってしまっているようです。

 心配事を頭で考え過ぎ、本能や直感で感じる能力が低下しているのかも知れません。

脳外科医の篠浦 伸禎(しのうら のぶさだ)先生が致知出版社の本の中で、「左脳は言語を司っており、言葉で現実を切り取り、物事を明確にして行く、自分と他人と言うように、目に見える世界を区別していく機能があります。左脳の働きで、言語化した知識や情報を多くの人が共有する事により、人間は集団として進歩して来たのです。しかし言葉や論理が発達すればするほど、例えば自分が信じているものは正義であり、それに反するものは悪だと言う二元論に陥りやすく攻撃的になりやすい。これは左脳の中心にある情動や記憶を司る偏桃体、報酬体がストレスで攻撃的になり易い要因です。一方、右脳はその逆で、目の前の瞬間瞬間の現実そのものに対応するエネルギーを集中させていきます。

 つまり左脳のように周囲と自分を区別するのではなく、一つのものとして調和、共振していくのです。ですから右脳が活性化すると周囲と調和して孤独感が無くなり幸福感と繋がります」と述べられています。

 今の世界情勢の現状の中で、調和性と共振性と言う、人が本来持つ働きが崩れ、徐々に私達の脳はバランスを失って行っているようです。

対処法

頭部の左側、右側をFTします。左側は左脳、右側は右脳としてFTして下さい。
左右どちらかにstがある場合、左脳、右脳がそれぞれ持つ機能を充分発揮できていないと考えます。

1 脳に関係の深い目の動きを見る
「目は心の窓」と言いますが、感情は目に現れます。考え事をする時は、斜め上に目を動かしていませんか?

先ず目を開けたままセンサーで目を覆うようにして左目、右目をFTします。

① 目を開けた状態で左目、右目をFTする。
② 目を閉じた状態で    〃     。
   ②どちらかでstになるので、stだった方の目で、
③   目を動かしながらFTする。

(1)左斜め上(2)左斜め下(3)右斜め上(4)右斜め下を見て貰いながら順番にFTし、stになった方向の目の周りをFTしstな所を見つけて刺鍼します。(眼球の上下左右10㎝以内にある事が多いです)
stな箇所の補瀉に合わせて焼鍼をしても良いと思います。

 次に患者さんが仰臥姿勢で、術者が、鍼の鍼体を持って僅かに針先を出し、乳様突起下のstな箇所に接触鍼をします。(慣れると両手に鍼を持って治療できます)空いている手は頭から首を包むようにして下さい。

 5~10分すると、頭全体が緩んでくるのが触知できます。接触した鍼先を、ゆっくりと離します。再度、頭を持ち上げると、左半球、右半球の重さの差が無くなり、頭部全体が軽くなります。それと、学生さんなどに多いのですが、頚が右側に傾いている方がいます。「なぜ、こんな事しなきゃいけない?」や、やらされている感で頭が一杯の時は、右側に首をかしげているのですが、今の施術の後は真っ直ぐになっています。

 思考の偏りも柔軟になって行きます。

・創傷(傷跡)の処置

 怪我をして縫った箇所や、閉じにくかった創傷箇所は、時として経脈の流れを妨げる事があります。傷跡がFTでstな時は、処置します。

 この時は傷跡に沿って、両側にスパイラルテープ(又は布テープ)を貼付して下さい。これでsmにならない時は、smになる方向に貼ったテープの上から焼鍼をチョンチョンとして、創傷部位をsmにします。

患者さんの来院時に毎回チェックして、テープの貼り替えをし、焼鍼を繰り返すと、やがて貼付しなくても、創傷部はsmになります。経脈の流れの妨げにもならなくなります。

・愁訴部位が改善しない時  

本治法、標治法が終了しても、愁訴部に症状が残存している場合は、愁訴部をs3センサーでFTし、stの範囲を定めます。色布を当て、十二経脈のどの色に反応するかを診断します。患部が胃経の流注上にあったとしても、黄色ではなく他色に反応する事も多いので注意して下さい。例えば黒の腎経色に反応した場合、腎経上でstの所を2~3ケ所見つけて下さい。先補後瀉の法則に沿って、2~3ヶ所の中で、補が適する穴(この場合は太谿穴)に補の皮内鍼を入れます。その5cm上下内に瀉のstが出現していますので、その穴に瀉の皮内鍼を入れて下さい。腎経脈の補瀉治療になります。

画像の説明

これは入江先生の論稿集P213の「皮内鍼で補瀉を行う法について(3)」を参考にしました。患部がsmになっていれば効果は出ます。この上下の補瀉鍼は1時間以内に外して下さい。経脈は敏感なのでドーゼに注意して下さい。

・足の冷えが取れない場合

足趾の第3、4指間にstが残っていたり、趾骨間が狭くなり、詰まっている事があります。

固くなっている事も多いので、術者の指でゆっくり押し広げる様にして下さい。
 冷え性は自己管理も必須なので、食事や、お風呂に塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム(エプソムソルト)、重曹等を入れて入浴するのは効果的です。又、就寝前に頭を北に向け、漢字の「大」の字のように、両手両足を広げた状態で寝て、今日一日楽しかった事をイメージしたまま5分間過ごします。北半球の地磁気の関係で、北に頭を向ける事。

 手足を広げ、リンパ、血液、気の流れを良くしましょう。これは「大の字療法」と言います。

・気持ちに落ち込み癖がある場合

学生時代から治療していた方が、就職して地方に勤務する事になりました。3ヶ月程した頃から精神的に不安になり、身体の倦怠感で朝起きられなくなり、会社を休みがちになりました。相談されたのですが、治療に行く事も出来なかったので、患者さんの生まれた長野の自宅の水をペットボトルに詰めたものを毎週送って、飲んでもらいました。

 産湯に浸かると言う言葉がありますが、細胞が記憶している水は気持ちを安定させる事が出来ます。それと朝日を浴びるようにしてもらいました。

 効果があったようで、その後すっかり良くなったとの事です。

太陽光は脳内ホルモンの一つのセロトニンの合成を増加させると言われています。
セロトニンは朝日を浴びる事で分泌され、幸せホルモンが、頭の血流も向上させるようです。さらに土の上に裸足で立つ事で天と地のエネルギーを感じ、自然治癒力を高めるようです。

・お薬について

医師でない限り、お薬の指導に携われませんが、もしお薬をもう少し有効にしたい時は、通称「オルゴンボックス」と言う容器を作製してみましょう。

 ホームセンターで、おかず等を入れるタッパーと、キッチンなどで使うアルミテープ(裏に粘着剤が付いている幅広のテープ)とフェルト布を用意して下さい。
 
 タッパーの裏ブタと容器の内側をアルミテープで覆います。その上をフェルト布で隙間なく覆います。再度アルミテープを貼って下さい。

 電気を通すものと、絶縁の物を交互に組み合わせる事で微弱な電気を発生させます。

その箱の中に薬を24時間以上入れておいてから使用して下さい。FTすると、オルゴンボックスに入れた薬は、よりsmになっています。

・精神的なトラウマについて

過去のネガティブな感情が体内に残っている方がいます。
 過去の記憶が自然治癒力を阻害している場合があります。
専門家ではありませんが、一つの方法をご紹介します。
肉体的なトラウマには、胸腺や左肋間部(第5~8肋間辺り)にstやしこり、くぼみとして捉える事があります。右側腹部には肝臓がある為、横隔膜を介して潜在的な緊張は左側に出やすいのかも知れません。手技により胸郭の動きを良くし、呼吸を整える事は大事です。FT治療ではstの範囲を定め焼鍼の方向を決めます。
大抵、縦、横、斜めのラインでstがあります。(カナダの斉藤先生の気円のような反応です)smになるよう治療をします。

肉体的な処置の後は「ノート法」と言う方法で精神的なトラウマにアプローチをします。患者さん自身に内観をしてもらいます。新しいノートとペンを用意します。
過去の忘れられない出来事や人間関係に向き合うのは、誰でも嫌なものです。(私もそうでした)その時の感情を、愚痴で良いのでノートに書き込みます。書き綴っていくと、時系列に関係なく過去の感情が湧いて来ます。もしかすると、幼年期に味わった感情なども湧き上がって来ます。連続で書くのはとても疲れるので、何日か間を置いて、書けそうな時にまた書きます。所謂「掘り起こし」をします。

 ある程度感情を出してしまうと、もう一人、少し大人になった自分が顔を出し、その出来事や人間関係に対して客観的に物事を見ようとして来ます。(友達に相談されている感覚)
少しずつ建設的な意見が出て来るようになったら、それもノートに書いて行きます。

 ここまでやると下書きとしては十分です。
次に手紙用の便箋と封筒を用意して下さい。

 下書きを基に、当時の自分または相手がいるならその人に手紙を書いて下さい。
清書した文章はどんな内容になっているでしょうか。その手紙は出さずに机の奥にしまっておいて下さい。半年位経ちましたら手紙を燃やして下さい。自分の感情が、どのように変化したか感じて下さい。顕在意識から潜在意識の世界を感じられるかも知れません。

この方法は途中でやめたくなったら、やめてしまっても良いと思います。向き不向きもあると思います。

術者の心得として
昔、橋占いと言うのがあったそうです。悩み事があった時、橋のたもとに立ち、ぼんやり立っていると、橋を通る人々の話が聞こえてきます。その話の中に、自分が悩んでいる事に対する答えやヒントが隠されているそうです。

「雑談の中に宝物がある」私の師匠の言葉です。
患者さんは信用して大切な話を打ち明けて下さいます。私達は、正しいか否かと言う自分基準で話を聞いてはいけないと思います。ジャッジする必要はありません。
気の利いた事は言えなくても、真摯に話を聞く事が大切だと思います。
その時でも治療の手は止めないようにしましょう。(自己反省をこめて・・・)

参考文献
渋沢栄一が教える人生をひらく脳の使い方 篠浦 伸禎 致知出版社
漢方医学論稿集 入江正 東京入江FT塾

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