鳩の恩返し
鳩の恩返し
5年前の秋も終りの11月。
日光駅で羽を傷つけて動けなくなっている鳩に出会った。うずくまったまま倒れている。
身体が自然に動き抱きかかえた。
衰弱している。
上着に包み電車に飛びのった。
鳩は
膝の上でじっとしていた。
温かい・・命を感じた。
翌日獣医さんに診てもらうと羽が骨折していた。
時間がたっているらしく変形したまま癒合し始めていた。元には戻らないとの事だった。
野生動物のため病院で引き取れないらしい。
これも何かの縁と思い自宅のベランダに鳥小屋を作り一緒に生活した。
ポコと名づけたその鳩は、ご飯とトイレ掃除以外は人を寄せ付けなかった。
1年が過ぎた頃1羽の鳩がポコの鳥小屋に来るようになった。
餌を食べる目的だと思っていたがその鳩は
日が暮れるまで小屋の周りで過ごした。
暗くなるとどこかに帰っていった。
そのうちに我が家の庭のゴ-ルドクレストの木の中に棲むようになった。
ピコと名づけたその鳩は、
日が昇ると小屋に来てはポコと話しをしていた。
1年の何回かネットの張られた屋上で飛行訓練をしたが
ポコの身体は左に旋回してしまう。
無理もない。生涯面倒をみようと決めていた。
震災後、何度もポコとピコの2羽が仲良く飛んでいる夢をみた。
野生動物にとって生きる事の意味を繰り返し自問自答した
そして彼ら(彼女?)の帰る場所は大空なんだ。
完全ではないが傷が癒えた今がその時期かもしれない。
そう考え天気の良い朝に鳥小屋の窓を全開にした。
家族が見守るなか2羽の鳩は飛び去っていった。
1週間が過ぎた朝、妻が洗濯物を干そうと窓を開けると
2羽の鳩が並んでベランダにとまっていた。
干し物をしている間作業をみつめていたという。声をかけると揃って飛んでいった。
残念ながらあれから僕は2羽には出会えていない。
でも鳩を見る度にあの出会いを思い出し互い元気で・・
と願う。
a:7439 t:1 y:1
コメント
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写真じょうずだね。
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