アーシング鍼について
アーシング鍼について
FT塾講師 神林 一隆
アーシングとは 自然(大地、砂浜、海など)に素足、素手で触れる事で、体内の静電気を放出し、身体の電気バランスを整える事です。今回、鍼治療にアーシングを取り入れた方法をご報告します。
-きっかけ-
今年 4 月下旬、自宅の芝生にタンポポが咲き始めました。綺麗ですが 芝生にとってはマイナスなので花を摘んでいた所、右手首の甲を蜂に刺されました。すぐに流水で洗い流し、家にあった軟膏をつけておいたのですが、1 時間すると腫れと熱感と痛みがひどくなって来ました。
刺された周辺が st なので、そこに鍼をして毒を出そうと試みましたが、何も変化はなく、ふと思いついたのがアーシングでした。刺鍼したまま 裸足になり 芝生の上に立ちました。
20分位経過すると、手首の痛みはほぼなくなりました。腫れと熱感は消退するのに 2 日程かかりましたが、痛みがないので支障はありませんでした。
余談ですが刺された 2 日間は、プロポリスキャンディーやプロポリスのサプリメントが st になっていました。(蜂の毒のせいですかね?)
この体験をもとに、普段の鍼治療にアーシング鍼を組み合わせる治療をしていきました。
現代は周辺を電化製品に囲まれ、電気を通さない断熱材の入ったベッドに寝て、ゴ
ム製の靴を履き、アスファルトの上で生活している私達は、身体に電気を溜めてしまう(帯電)のかも知れません。
今の所、アーシングの効果についての論文は、世界各国で出されていますが、決定的な臨床効果に至ってはいません。目に見えない電子レベルの研究はこれから盛んになって行くと思います。
-準備-
鍼治療にアーシングを取り入れると決めましたが、患者さんを裸足で地面に立たせたまま鍼灸をする訳にいかないので、別の方法を考えました。
実際患者さんがアーシング出来ているかを確認する必要がありますので、身体電圧計を購入しました。



身体電圧計は周辺の電気機器に影響されるので同じ場所、同じ条件で計測するようにしました。
今迄 200 人以上の計測をしましたが、正常であれば殆どの方が 0.800~1.500ⅴ
2という数値が出ます。
着ている服、体の大きさ、脂肪の多さにより数値は変わるようです。
アーシング鍼をした場合、全員の数値が 0.002~0.001ⅴ以下に下がります。
地面が 0ⅴですから、アーシング出来ているようです。念の為、アーシング専門の会社に問い合わせて状況を説明すると、きちんとアーシング出来ているという返信を頂きました。
-診断-
身体の、どの箇所に帯電しているかを見る為に、CMC (カーボンマイクロコイル)のビーズを用意します。カーボンマイクロコイルは螺旋構造の非晶質炭素繊維でマイクロ、ミリ波領域の電磁場吸収素材及びセンサー、アンテナ等の素子とし
て使用します。

このビーズの数粒を布巾着の中に入れ、FTのセンサーとして使います。まずは四海などの全体診をしてから局所診をして、st の強い箇所を探します。
数箇所 st な部位に印を付け、一番 st な箇所に方向を決めて水平鍼をします。(一寸か寸三の 2番鍼)鍼体の金属面を皮下に接触させる目的です。
臨床の長い先生方は、アプライドキネシオロジーの AK2 点 TL 法やチャレンジで、どの反応点に刺鍼するかを決めても良いと思います。
-治療-
刺入した鍼体に銅線クリップ(銅線を巻きつける方法でも良い)で接触させ、もう片側を外の地面に刺した金属棒(アース棒)に接触させます。
身体電圧計は数秒で 0.002ⅴ以下になります。
このまま 10 分程すると CMC センサーには反応しなくなります。
もし関節の周辺や創傷部位などに帯電が残存するようであれば、銀や銅や真鍮の提鍼で一番 sm な方向に流してあげると帯電は抜けて行くようです。
-気付いた事-
アーシング鍼を取り入れるようになり、気付いた事があります。
患者さんからは
① 身体が軽くなった。
②イライラが減った。
③爽快感 。
④目がはっきりした。
⑤ 睡眠の質が良くなった。などの声を、以前より聞く事が多くなりました。
普通何もおっしゃらない常連の患者さんも、「今日もあれやって下さい」とか言われますので、ある程度効果はあるようです。
-施術者として気付いた事 -
アーシング鍼をすると、経脈診がとても分かりやすくなりました。
昔、自分が書いたフロンティアの原稿を読むと、円筒磁石での診断が分かりにくいとか補瀉診断しにくいとか書いてあるので、今考えると帯電していて分かりにくく感じていたのかも知れません。
他には風邪のスパイラルの反応やアレルギーの反応もかなり減ってしまいます。
但し経別脈診部が sm になる事はなく、やはり入江式経脈治療の本治法は必要
な事を認識しました。改めて経脈(経絡)とは何ぞやという感じです。
症例 1
30 代男性 グルテンの過剰摂取による皮膚、関節の痛み
職業 SE(システムエンジニア)
1 日 12 時間、パソコンによる作業をしている。
仕事が忙しくなると、1 日にパンなら一斤、クッキーなら 1 箱、それに伴いコーヒー6 杯は飲食してしまう。
この患者さんにアース鍼と経脈治療をしました。
治療前の身体電圧計は、1.566ⅴでした。CMC コイルをセンサーにしてFTすると、下腿外側が一番 st が強いです。
sm になる方向に向けて水平鍼をし、銅線クリップで止める。 もう片側の銅板クリップをアース棒に接触させた。数秒で 0.002ⅴになった。15 分間アーシング鍼をした後、経別脈診をすると、左胃メイン右大腸サブの経脈治療なので、左豊隆-右列缺、右衝陽-左遍歴にIP治療した。




背中は胃の六灸の穴に灸頭鍼をしました。
改善するのに時間がかかりますので、治療だけでなく、自宅で銅板を購入し、電線は phoneプラグと同軸ケーブルで作って繋ぎ、キッチンのアースコンセントに繋ぎ、毎日アーシングしてもらった。
1 ヶ月後に来院された時は、体重が 3kg 減っていました。
皮膚のかゆみ、関節の痛みも軽減し、イライラも少なくなった。又、アーシング効果だけではないでしょうが、以来自分を節制する事が出来るようになったとの事でした。
症例2
40 代主婦 香害
コロナ禍の頃から、柔軟剤や人の発する臭いに敏感になり、外に出る事が苦痛になってし
まった。病院では HSP と診断され、現在はハーブセラピーやカウンセリングも受けています。
-治療-
身体電圧計は 1.200ⅴ、CMC ビーズでは頭部と内踝下方に強い st がある。他に腹部にもst があったので、銅線を各箇所に接触させて、内踝に接触させた時に頭部、腹部の st が消えるので、内踝の一番 sm になる方に水平鍼をして銅線で繋ぎました。(内踝下方を治療すれば、頭部、腹部も良くなると考えて)。
頭部がブヨブヨしているのは精神的に敏感な
方には特徴的です。
0.001ⅴで安定してから奇経治療(任脈、陰蹻脈)右列缺-左照海のIPの交差治療をしました。背部は銅の提鍼で軽く接触鍼をし、最後に身体の免疫を上げる事を目的として、オステオパシーの第 4 脳室圧縮テクニック(CV4)で身体をリセット
しました。
今の所患者さんは顕著な効果はないのですが、敏感な方で治療後は、数ミリズレていた歯の噛み合わせが戻ると言います。今より少しずつ改善して頂くのが今後の課題です。
症例3
50 代 男性 左膝の痛み
庭仕事をしている時、小石を踏んで体制を崩し左膝に体重負荷がかかった後から歩
行に支障が出るほど痛くなってしまった。( 松葉杖を必要とした)
近隣の整形外科で、レントゲンや血液検査をしたが異常はなく、鎮痛剤と湿布を処方された。数日しても痛みが強いため再度受診し MRI の予約を取ってきた。
この日は当院の予約も入っていたので治療をすることになった。
腫脹、熱感はなく、水腫もなく、整形外科的徒手検査も陰性だが、膝の近位脛腓関節に可動制限があった。
足首を背屈させた時、通常腓骨は少し上方に可動するが、動きはなかった。少し圧痛があるようだ。CMC ビーズセンサーで膝全体が st なので、アーシングを試みた。

膝全体をアルミテープで覆い、膝窩に金属板を置いて、アルミテープと銅線と金属板を銅線クリップで繋いだ。アルミで覆う方法は、入江式の火傷治療を参考にした。
痛みを逃がすように治療をした。
翌日は症状が改善しなかったが、翌々日、立ち上がろうとした時に膝が「バキッ」という音がしてから痛みは消失してしまった。MRI は撮らなくて良くなったと報告を受けました。
関節の問題なのか、靭帯の問題なのか、原因を言及することはできませんが、亜脱臼が矯正された感覚に近いです。
最後に、今回の原稿を書く上で参考にさせて頂いた、KEN TAKEUCHI さんの音楽教育活動奮闘記というブログの一部をご紹介させて頂きます。
『アーシングの仕組みを「基準電位を取る行為」と考えてみて下さい。身体の機能が正常に機能するという意味が分かってくると思います。電気機器はグランドである 基準電位を取らないと安定して動作しません。
皆さんは合わないアダプターを誤って使って機器を故障させた事はありませんか?電源ケーブルなども、取り外しが出来て似ているものを誤って使って機器が動かなくなった経験はありませんか? 電気機器は適切な電圧と電流で用いないと適切に作動しません。
しかし機器を適切に用いていても、機器自体をアースしないと、これまた余計な電気を消費したり、誤作動を起こしやすくなります。
回路の寿命も短くなると言われています。
オーディオ機器やパソコンなども、内部のフレーム金属部分にグランドを取っています。
これはフレームアースと呼ばれるもので、これにより基準電位を明確にし、多くの電子回路が適切な電圧、電流によって正常に起動するような仕組みになっています。
どこかを 0ⅴと規定しないと、様々な電位差が発生する電気機器は、そこが狂うと適切な電圧が生まれず、機器が誤作動してしまうからです。電流が流れた瞬間、どうしても周囲の電磁場、電源から入るノイズ、回路の起動によって生まれる磁場などから電圧が乱され、回路が正常に起動しなくなります。
そういう事を防ぐために、グランドを取る事で余計な電気をグランドに流し、回路の中には規定通りの電圧が発生するようにしています。
これで初めて電気機器は正常に動きます。
人間も電気信号で動くとしたら、その基準はどこでしょう。当然それは地球です。
人が地球に立つ事で、体内の電圧を正常に保ち、体内活動を円滑に進める事が出来るだろうという事は容易に推測できます。
本当に今は身体が頑強になりました。12 時間パソコンの前にいても目の疲れも肩こりすらありません。あまりに頑強で怖くなったので最近は自ら時間を制限していますが・・・
これはパソコンからの電気を浴び、例えば静電気を帯びたパソコン周りの空気を吸う事でも、体内が一時帯電し、電位差が狂います。グランドを取っていない電気機器状態になる訳です。身体の不具合は、すなわち炎症につながります。痛みにつながります。
体調不良につながります。どこがどう悪くなるかは個人の体質によって変わるでしょう。
アーシングの仕組みはこれから解明されると思いますが、数々の論文が示唆しているのは、基準電位を取る事で身体が正常に作動するという点です』 (以上、ブログより)
-考察-
運動不足、寝不足、過労、偏食、社会的ストレスなど、長時間身体に負荷をかけると人体は病気になる前に原因不明の痛みの兆候が見られます。治療院には、化学物質過敏症、アレルギー、鬱、電磁波過敏症の方や、検査では問題ないが辛いという患者さんが来院されます。先生方は患者さんが良くなるように様々な方法で施術されている訳ですが、それにアーシングをプラスして頂きたいです。小さい頃は裸足で駆け回って遊んだ経験があるはずで、その心地よさを身体は求めています。「地に足がつく」という言葉通り、人は大地に立ってこそ身体的、精神的に健康になると思います。
参考文献 KEN TAKEUCHI さんのブログ「音楽教育活動奮闘記」