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二人三脚治療・治癒にはポジティブな意識が大切

二人三脚治療・治癒にはポジティブな意識が大切

FT塾講師  神林 一隆

 今回私と山本 由(ゆかり)先生の2人で1人の患者さんを治療することになった。
 入江式FT治療の、情報を共有する事により良い結果を得られたので報告いたします。

症例 68歳女性

1回目治療・神林(6月)

 両目で物を見ると二重に見えて距離感がつかめず、転倒しそうになるので、眼帯をして効き目のみで生活をしている。鍼灸治療は経験がなく、不安と緊張が見られたので、子供から老人まで幅広い世代で受け入れられている治療である事を説明し、(いとも簡単そうに)私の腕に刺鍼して安心していただいた。

 初検時 頭蓋骨の可動性が減少し、上部頚椎の可動性も減少している。胸鎖乳突筋の緊張は強く、横隔膜の動きは制限されている。経別脈診では肝メイン心包サブの診断。

 橈骨動脈と足の足背動脈の拍動部に触れると一貫性がなく僅かに脈動のズレを感じる。 症状が改善するまで少し時間がかかりそうだ。IPによる鍼治療を行なった。

 右の膝にstが残存しているため、可動性を調べると制限がある。昔スキーで靭帯を挫傷しているとの事だ。過去の外傷による関節の制限を除去するために、火をつけた麻炭を入れた香炉で温灸をして15分位膝関節を緩めた。

 上部頚椎を緩めるため、乳様突起周辺のstに1寸 01番の鍼を刺入した。
標治法として、仙腸関節に補瀉の皮内鍼を刺入した。仕上げに膀胱経一行線を指圧し治療を終えた。初めての鍼治療なので刺激量(ドーゼ)には気を配った。

2回目3回目は山本先生にお願いをした。
以下、山本先生の文章

 神林先生から紹介があり、眼筋麻痺による左眼複視の症状を訴える患者さん(68歳、女性)を治療する事になった。

 今年の4月から松本と自宅のある千葉県の二拠点生活を始めたところ6月に突然発症して千葉県内の総合病院の脳外科、眼科を受診し検査をしたが異常なし。更に松本の眼科を受診して眼筋麻痺との診断で、ビタミンB 12を処方されて飲んでいるとの事。
 外出時はいつも左目に眼帯をしている。

2回目(7月)

 初診の患者さんには問診に時間をかけて、既往歴、普段の生活の様子、(特に食事、睡眠運動、常用薬やサプリなど)を詳しく聞いている。その時の様子(話し方や表情)もよく観察する。
 この患者さんは 過去に大病を経験してそれを克服し、生活も規則正しく、普段は登山 などかなりアクティブに行動する。声も大きく明るい感じだった。

〈治療〉
 左手掌st、経別脈診部:肝st、四海部:頭部が一番st愁訴部:右眼<左目st。
左肝メイン心包サブでIP治療、頭部のstな箇所、顔面部は攅竹、太陽、四白などに刺鍼。下肢の冷えセンサー反応点に灸(太衝、三陰交等)腎兪( 刺鍼と灸)肩井、上天柱
 自宅にて夜寝る前に眼を温めるように伝えた(湿らせたタオルをレンジで温めたもので可 )

3回目(8月)

 8月初めに眼科を受診したが、検査の数値的には変化はない。見え方は変わらない。

〈治療〉

 1回目とほぼ同様の診断 左肝メイン心包サブでIP治療 頭部のstな箇所( 百会の周辺がstだったので四神聡に刺鍼)顔面部は攅竹、魚腰、四白、聴宮、下肢の冷えセンサー 反応点に灸(血海、足三里等)腎兪(刺鍼と灸)志室、肩井、天柱
この日は治療後にかなりリラックスした様子でおしゃべりが止まらない。 溜め込んでいたものが一気に出ている感じなので、これも治療の一環と思い、昼休みだったので時間の許す限り聞く事にした。9月からまた神林先生の所に行くので、私としては出来るだけの事はしたかなと思った。

 この患者さんは6月に初めて神林先生の治療を受けて、続けて予約が取れなかったため 次の治療までの間、うちで治療する事になった。

 神林先生の治療を受けて、一度の治療ですっかりファンになっていて(人柄? 治療?)神林先生への信頼がかなり強いと感じられたので、 私の治療で大丈夫?と正直多少不安を感じた。しかし入江式はこういう場合でも、とても心強い治療法だと思う。

 それは客観的に俯瞰して診断がつけられ、それに沿って治療をすれば良いという点だ。

 今回も そういう点で 臨床経験が長くない私でも迷う事なく治療できたと思う。
この患者さんは4月に新しい場所での二拠点生活が始まったことが大きなストレスとな り、普段から睡眠障害や頭痛もあることから肝気が上逆した状態が続いて腎にも影響を及ぼして、弱い所(眼)に長引く症状が出てしまったのではないかと思う。

 入江式治療で肝経を整え、頭部の刺鍼でストレスを緩和して、顔面部や肩の刺鍼で愁訴部の血流を改善、腎兪で補腎することが今回私の行なった治療である。

 今後はFTの精度をもっと上げて、少ない選穴で自信を持って治療出来るようになることが課題だと思う。

4回目治療・神林

 7、8月の山本先生の治療院を訪れた時、
「女性ならではの細やかな施術と、いい匂いのする空間で癒された」
と喜んでいた。未だ複視は残っている。だが、8月の山本先生の治療を受けてから視野が広がって、側方が見やすくなったとの事。

 腎経脈にstがあるので、入江式経脈治療で整えた。又、今日は佐藤式カラーカードによる診断と、シュガーさんと言う方のブログを参考にした「気を込めた鍼」でも治療を行なった。

 カラーカードを1つずつ 手掌に乗せて行くと「扁桃体」と「側坐核」のカラーカードでstとなった。複視を改善するために脳に関与する部位にアプローチする必要があると考えた。スポーツ脳科学者の 林 成之(はやし なりゆき)先生の著書「勝負脳の鍛え方」を読むと、脳の仕組みや脳が求める生き方が書いてありました。
まず眼から入った情報は後頭、頭頂葉の空間認知中枢で認識される。

 次に その情報は第2段階 「A10神経群」に到達する。ここに危機感を司る 扁桃体、 好き嫌いを司る「側坐核」が存在する。
登山が好きで移住をして未だ2ヶ月足らずで眼がこのような状態になり、極度の危機感に襲われ、もう登山出来ないというマイナスのレッテルを貼られた情報は、第3段階の「前頭葉」で理解、判断、発想の機能が十分働かなくなってしまったと考えられる。

 林先生はこの状態を、脳が挑戦する事で得られる報酬よりも、失敗、敗北感などへの恐怖に支配されているので、ポジティブな言葉を使い、何事も興味を持って取り組む事が大切で、「利他」の心を高め、脳が本来持つ「更に前進」という本能を促進させなさいとおっしゃっています。 それを踏まえて、「眼が治ったらどんな山に登りたい?」「今までの登山で一番思い出になる事は?」等を聞き出し、再度チャレンジする精神を高めるように話を進めた。

 経絡治療は通常、手技により気の調整をする。入江式ではIPにより補瀉治療をし、 気の調整をする。今回はあらかじめ気を込めた鍼を作成し、カラーカードでstな部位に刺鍼する事にした。

 気を込めるとは転写すると言い換える事が出来る。

 物質に気を込めるには2つのポイントがある。

Ⓐ 柔らかい物質より硬い物質の方が気を込めた時に長期的に作用する。

Ⓑ 直線的な気の流れより螺旋の方が力の作用が大きい。(武術の突き等も同じ)

 例えば水は気を込め易いが安定しにくく長期的に気を込めるには適していない。
 鉱物や金属は、長期に気を安定させ易い特徴がある。

 此処では詳細な話は省きますが、気を込める具体的な方法や、シュガーさんという、その道の達人の話等は臨床科の講義でご紹介したいと思っています。今回は先ず金属の螺旋の指輪に気を込めて(転写させ)施術時に鍼体と指輪を接触させながら気を込めて刺鍼した。 
 
 カラーカードを患者さんに当てると、それぞれ頭部に一番stがある。「扁桃体」はラムダ縫合内、「側坐核」は後頭乳突縫合内にstが存在した。

 鍼管を立てて直刺でsmになる深さまで刺入した。stな部位はsmになり、頭蓋骨の可動制限が改善された。患者さんは手足の先に温水が流れる感覚がしたとおっしゃった。

5回目治療・神林(10月)

 眼帯を外し、自転車で来院された。これには驚かされた。一体何が起きたのだろう。「あれから、すっかり良くなったので今日はご報告に来ました」と言うので診断してみると、脈診も異常なし、カラーカードでも異常が見つからなかったので今回で治癒とした。

 今後は季節の変わり目にメンテナンスに来て頂く事と、普段は自宅でアルコールを少し含ませた温水を作り、コットンに浸し、眼の上に置いて血行を良くする事を勧めた。''''

考察

 潜在能力は皆が持つ才能であり、高める事で脳の持つ本能が限界を超えて前進する事を体感させていただいた。今この原稿を書いている最中に、埼玉から100歳を迎える女性(20年前の患者さん)が治療にいらしている。「今年は暑くてナスが上手に育たなかった。秋からはゲートボールをやるの」と以前と変わらぬ会話。お嫁さんの話しでは、朝は肉を焼いて食べているそうで、やはり「年を取った」「いい年だから出来ない」というのは潜在能力を消す禁句なのだ。

「先生また来年もよろしく」と元気に帰って行かれた。

 来年また感動させて頂けそうだ。

 生気が虚した所に病邪の実が取り付くという入江先生の言葉があるが、カラーカードの持つ様々な周波数で病邪を捉え、気を込めた鍼で病邪の滞りを押し流すことで症状に改善があった。FTを数値化できる先生は、鍼に気を込めてプラス度の高い鍼で試して頂きたい。

 山本先生、今回はお忙しい中、治療にご協力下さいまして有難うございました。

参考文献

・〈勝負脳〉の鍛え方 林 成之(はやし なりゆき)著 講談社、現代新書
・シュガーさんのブログ

 

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