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私の治療室から

私の治療室から

FT塾講師  神林 一隆

 預言書である日月神示に「子の年(2020年)は、火の災い、水の災い等があり、数年に渡り世が荒れる」と書いてありましたが、今年はコロナ流行により、パンデミックが起きています。鍼灸業界にも多大な影響があり、FT塾も開催が出来ず、先生方も歯がゆい思いをされているのではないでしょうか。

 特に基礎科、高等科の先生方は、FTをどのように臨床に使って行けば良いか、又治療の流れはどうしたら良いか等、情報を得る機会が少なくなってしまわれたと思います。

 今回のフロンティアでは、自分が学んで来た事で、日頃臨床に取り入れている方法等を述べさせて頂きます。


本治法 脈診について

入江式脈診断部は独特ですが、入江先生の著書を読めば、脈診部の成り立ちが書かれています。私は日頃入江式脈診部と同時に、坂本先生がフロンティアでも発表されている六部定位脈診部橈骨動脈の内側外側陰陽十二経脈を診断する方法を使っています。

右手 寸口内側を肺経 外側を大腸経
   関上 〃 脾経  〃 胃経
   尺中 〃 心包経 〃 三焦経

左手 寸口内側を心経  外側を小腸経
   関上 〃 肝経   〃 胆経
   尺中 〃 腎経   〃 膀胱経 としてFTで確認します。

 それと曲直瀬 道三(まなせ どうざん)が著した「脈論口訣(みゃくろんこうけつ)」の中で、人迎気口脈について書かれている箇所があり、診断点に利用しています。

 この診法は、中国の晋(しん)時代の、王 叔和(おう しゅくか)から始まりました。

右手関上と寸口との真ん中の所を気口と言い、内傷の乱れ(人の七情・喜怒憂思悲恐驚)に関わる病を診ます。

左手関上と寸口との真ん中の所を人迎と言い、外感の病(天の六気・寒暑燥湿風火)に関わる病を診ます。


この診断点をFTで確かめて下さい。

 人迎の脈右の気口より2倍以上stが強い場合外感の病と考えられます。
 気口の脈左の人迎より    〃      内傷の病と考えられます。

人迎、気口が共にstであれば、食傷であり、寒に傷つけられた病で外感内傷という事です。


三部九候の事

三部」とは、前に述べた寸口、関上、尺中の事です。
九候」とは、寸、関、尺で各々浮、中、沈の三つを診る方法です。

先ず指を「脈」に当てる時は、
菽(まめ)三粒の重さにて 皮毛 をうかがう(肺の脈)
 〃   六粒  〃  血の虚実  〃  (心の脈)
 〃   九粒  〃  肌内の状態 〃  (脾の脈)
 〃  十二粒  〃  筋の状態  〃  (肝の脈)
 〃  十五粒  〃  骨の状態  〃  (腎の脈) 

人は、皮の下に血があり、血の下に肉があり、肉の下に筋があり、筋の下に骨がある。

 脈を診るには上記の説明のように、少しずつ圧す力を強くする事が大事です。

私は一期生なので、入江先生の講義を直接受講する事が出来ました。

 先生は実技において、六部定位診をする事もありました。

六祖脈と言われる虚、実、浮、沈、遅、数(きょ、じつ、ふ、ちん、ち、さく)を診断する事は大事です。

 「東洋はり医学会」で教えて頂いた事ですが、浮沈を感じるには、先ず胃の気の脈(浮と沈の間)を捉える事です。胃の気を中脈として感じたら、浮かせて六腑、沈めて六臓を診ます。

 遅数についてですが、一呼吸に四度半を平脈と言い、それより速ければ数、遅ければ遅と診ます。(個人差はあります)呼吸と脈拍の数との比較によって寒熱などの病状判断、急性期、慢性期などの鑑別などをします。難解と言われる六部定位脈診ですが、FT診断、治療をする度に練習して行くと自分なりの感覚を得る事が出来ると思います。
  
 次に腹診についてですが、入江式腹診部と井本式十二調律点による圧迫診も取り入れています。臍より上部を大腹、下部を小腹といいますが、大腹より小腹が冷たい方は冷え性が多いです。圧迫診をしていて興味深いのは、色布を置いた瞬間に腹部の相応した部位が硬くなったり緩んだりします。脈診、腹診合わせて診断しています。


標治法について

本治法が終わり標治法に移ります。
座位と伏臥位で、背骨のラインが変わる方がいます。体重負荷により、側弯が感じられるかも知れません。姿勢変換時や起床時に痛みのある方などは、座位と横になった時の椎骨の変化の違いをFTや音素診で比べるようにして下さい。

 患者さんが伏臥位(又は側臥位)になったら、術者は四指をそろえて頸椎から尾骨までFTでチェックします。stな箇所には印をつけます。

図1s

 次にstな椎骨に音素診をして何番目の椎骨に問題があるかを確認します。
私の場合は、問題のある椎骨の棘突起を右→左に押圧して、
次に左→右に押圧して、どちらに動きやすいかを診ます。

右図の真ん中の椎骨を診た場合、
 もし、右→左に押圧した時棘突起が動き易く、左→右に動き難かった場合は、図のように変位をしている可能性があります。
 カイロプラクティックではこれを左後方変位(PL)と呼んでいます。




腰椎1番で例えますと、変位は「パ」の音素でstになります。
そして次の4パターンのズレ方があります。
           音素         (PLS)真ん中が変位した腰椎1番

図2ss

左後上方変位(PLS) パヤ・・・・・・・・・
左後下方変位(PLI) パイ
右後上方変位(PRS) パレ    
右後下方変位(PRI) パエ

変位がわかると刺鍼の工夫が出来、治療の幅が広がりますので、興味のある方は絶版かも知れませんが、末原 征朗先生の「音素診断学」を読んでみて下さい。


側臥位治療について

前面、後面の治療と同じように大事なのが側面の治療です。
臨床科の先生は、村井(父)先生の講義で「(かい)、(こう)、(すう)」(ドア開閉論)を学びましたね。開は全面、闔は後面、枢は側面を表します。
 に問題がある場合は、慢性的な症状や、重篤な症状(白血病等)を抱えている事があります。FTで側面を診るようにして下さい。又、体幹の回旋軸が中心になく、偏っている方も側面に問題を見つける事があります。

 「東洋はり医学会」では、側臥位になった時に「ナソ」「ムノ」と言われる治療をします。

慢性的な症状などにも使われますが、「ナソ」は胸鎖乳突筋付着部、又は欠盆穴付近の硬結に補泻の鍼をして身体を緩めます。「ムノ」とは鼠径部付近の治療です。以前に施術を受けた後、身体の動きが良くなった事を覚えています。
 それと側面を診る時、肩関節や股関節など、動きのある球関節周辺を細かくFTして行くとstな箇所があります。大事な治療ポイントです。



刺鍼について〔明鍼会(めいしんかい)で学んだ事〕

岡田 明祐(めいゆう)先生がご存命の頃、明鍼会で勉強させて頂き、痛くない鍼を打つ大切さを教えて頂きました。最近はステンレスの鍼も改善され、刺入が楽になりましたが、当時は銀鍼で練習をしました。

 押手の使い方と切皮時の鍼柄を叩く時の手首のスナップと手指の使い方により、刺入時の痛みが少なくなると実感しています。

 押手は経絡の流れに自然に沿って、母指と示指をそっと皮膚に乗せる感覚が望ましいようです。弾入時は、トントン叩くより、手首のスナップを使い、示指と中指が僅かに擦れ合うようにリズミカルで丁寧な刺入を心掛けるよう教わりました。

 お子さんや、鍼が怖いという患者さんにも拒否されないような、痛くない刺入を心掛けています。

 抜鍼時にも鍼口を閉じる(補)、閉じない(僅かに押し広げる感じ・泻)も意識する事で効果は変わると思います。IPで補泻が出来ていても抜鍼が甘いとstは残存します。


その他

今年は特に精神的に不安定になってしまう方が多いです。施術時にリラックスして頂けるように、「dōTERRA(ドテラ)」というメーカーのアロマオイルを使用しています。

図3s

シンカー・・・・集中力
ステディ・・・・不安を前向きに
ブレイブ・・・・立ち向かう心
コンフォーター・軽やかな休息
レストフル・・・心地よい眠り
ストロンガー・・健やかで強く

 FTで患者さんに合うオイルを選
択し、印堂(第6チャクラ付近)
   天突(第5  〃   )
  大陵陽池付近に薄く塗ります。
(ロールオン式なので使いやすい)

 嗅神経にはすぐ作用するらしく、
患者さんの四海が変化するのを感じ
る事が出来ます。
生命場(オーラ)を整えて安定した
施術が出来ると思います。

長野式鍼治療の自律神経処置の、照海兪府手足の指間穴、外ネーブル処置部に刺鍼した後にアロマオイルを併用すると、より高い効果が得られるようです。


考察

曲直瀬 道三の著書に「医者、病家に出入りの法」という一節があります。

・医者は患者の家に入る前に先ず口を漱ぎ手を洗い、天を仰いで祈るべきである。
・門を通る時は、その中央に立ってはならない。
・座った時に、壁に寄り掛らない。
・臥す時に帯を解いてはならない。
・衣装を口の上まで覆ってはならない。
・みだらな気持ちを起こしてはならない。
・貪欲な     〃
・怒りの     〃
・食事があれば、必ず早く食べる事はせず、自分の息で吹いて、その後に食すべきである。
・歩みは静かにするべきである。
・来診の要請が来た時は、慌ただしくともその病状を徹底的に問うべきである。
・往診に行くべきかどうかは、その事情に従うべきである。
・慈悲の心の無い者には天道から大病が自ずからやって来る。
だから医者は「そうした家」には出入りすべきでない。
・薬もまた因果から発生した病を治す事は許されない。



 まさしく「鍼灸道」と言うべき一節であり、また常識と言われる事柄が世の中に定着する迄には、非常識と言われる試みが数多く繰り返された結果として常識が成り立っています。基本という言葉も同じで「基本に満たない事」を繰り返した結果、基本が出来上がったのでしょう。

 基本や基礎と言うと、物事の手始め(初歩)と言うイメージがありますが、過去の膨大な情報の「間違いない事柄」の集まりが基本(基礎)です。

 FTも入江 正先生が生涯をかけて研究して来られた事から最も大切な事を基礎として残してくれています。「巨人の肩に乗る」と言う言葉の通りです。

先生方の発見が鍼灸界の将来の常識になる可能性を秘めています。
これからも共にFTを発展させて行くよう宜しくお願い致します。

 前述した日月神示には、荒廃した世の中から新しい調和のとれた世界が訪れると書かれている事をお伝えしておきたいと思います。

参考文献
脈論口訣  曲直瀬 道三(著) 篠原 孝市(翻訳)
音素診断学 末原 征朗(著)
よくわかる長野式治療  長野 康司(著)

    

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