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妊産婦治療

妊産婦治療

柔整、鍼灸では、婦人科疾患、不妊、妊産婦の治療や、出産後のケアをする機会が多いと思います。
私自身も開業して20年が過ぎましたが、妊産婦さんが多く訪れる為、臨床的にも多くの経験をさせて頂いております。
今回は、妊産婦さんを治療するうえで、気付いた事をまとめてみました。

妊娠されて間もない方(中には妊娠していても本人が気付いていない時もある)が来院された時は、特に問診に時間をかけます。

 妊娠前後の体調の変化、食物や生活習慣や睡眠は、人によって大分違うので、治療方針を立てる上で大切です。

 私の場合は、どの妊娠の段階においても、初めに寸口の脈を確認します。

寸口は全身の気の巡りが表れる所と古典で言われているように、左右の脈の状態(虚実、浮沈、遅数など)を目安にします。

寸口の脈が安定していないと感じた時は、身体の状態、心の状態に何らかのトラブルがあるとみて、ドーゼなどに気を付けて施術します。

 鍼は一寸の01番を使い、浅刺で毛穴の流れの悪い場所や、皮膚のざらつきや、色の悪い所に気を巡らせます。肩井や腓腹筋の周辺は、深く刺さないようにしています。(以前、師匠に、体内の水の流れに作用するから、お腹の子供に影響を与える可能性があると教わったからです)

 治療者の中には、妊娠初期は大事を取って貰い、安定期に入ってから治療する人もいるようですが、妊娠初期から治療する事で、つわりや腰痛を軽減できると感じています。

 また、初産の方、流産の経験のある方は、不安を感じる方も多くいます。そのような方にお勧めしているイメージトレーニングがあります。

簡単に言いますと、金の受け皿をイメージして貰い、それを子宮口にがっちりとはめ込む動作(実際に動作を行なう事に意義があります)により、金の皿がしっかり子宮を下から支えるイメージを持ちます。笑い話のようですが、効果があります。

通常は子宮内で成長するのが難しいと婦人科の先生に言われている方が、このイメトレで安定し、出産された事があります。先生は正直無理だと思っていたらしく、かなり不思議がられた為、患者さんがイメトレの話をされたそうです。先生は医学的には認め難いけど個人的には興味があると話されたそうです。

次に、つわりの時期に入りますと、吐き気などで寝込んでしまう方も少なくありません。
FTで診断すると、十二指腸の周辺にstが強く反応している事が多く、裏内庭にお灸を5~20壮すえると十二指腸のstが消え、楽になったと言われます。

 こめかみ、橈骨動脈、足背動脈の上下左右の拍動を比較します。これらの動脈の拍動の強さ、脈を打つタイミングがズレる方は肉体的にも精神的にも体力、免疫が落ちているようです。
妊娠5ヶ月も過ぎますと、安定期に入ります。人によっては腰痛の症状が起きたり、お腹の出具合にも個人差があります。本治法で治療後は、側臥位にて仙骨孔周辺の組織を術者の母指球で優しく押圧します。仙骨の凹凸のバランスを整える効果があります。

それから、大腿内側筋群が固くなってしまうと、骨盤が傾斜しやすくなるので、肝経、脾経周辺を指圧します。また、カリウムの不足や冷えがあると、ふくらはぎや足がつれる方もいます。一本一本足指を揉んだり、伸ばしてあげる事も大切です。

7ヶ月位になるとお腹のお子さんの個性を術者が感じ取れるようになります。

仕事に追われた母親はお腹の子供さんとのコミュニケーション不足なのか、お腹の動きが悪かったり、お母さんの下腹部が冷たく、固くなったりします。時期的に逆子にもなります。以前、野口整体の野口晴哉(はるちか)先生の直弟子の方の家を訪れた時、逆子はお母さんの感情面の影響がかなりの確率で関係しているとおっしゃられていました。私の所でも妊婦さんが実家に行って両親と喧嘩して来ると逆子になってしまい、落ち着くとひっくり返るという事を数回繰り返した方がいましたので、お話をお聞きした時、納得できました。

 逆子の時は有名な至陰穴の灸で対応できます。また、それでも効果が得られない時は、命門に皮内鍼をsmな方向に入れる事もあります。(村井 美佐夫先生から教えて頂きました)

お母さんには、子供さんは外界の情報を感じ取っているから、楽しく、明るく生活するよう促します。(夫婦喧嘩も派手にやり過ぎないように)
 それと、三陰交への安産のお灸を、自宅でもするように伝えています。
安産のお灸をしている方の多くが、安定した出産をすると感じています。

 お腹も大分下がって来ますので、尿漏れをされる妊婦さんもおられますので、自分で骨盤底筋群やインナーマッスルの筋力アップできる方法も指導しています。

入院される方には、病院での出産時、なるべく赤ちゃんと対面したら声をかけてあげる事と、できれば撫でてあげて下さいとお伝えしています。フランスの婦人科医のルボワイエ博士の著書によりますと、外界に出たばかりの子供さんは、母親の温もりを必要としているそうです。出産後、母親との対面もなく保育器に入れられた子供は、思春期になって肉体的、精神的に障害が出る事が数多く報告されていると書いてありました。

産後のケアについて
人によって体力の回復具合に差があります。こちらとしては見守る姿勢をとりながらも荷重関節である顎関節、股関節を整えます。カイロプラクティックのロベットブラザーという理論の中で、この2関節は胎生期に同じ骨細胞から分岐したため兄弟椎といわれ関係性が深く、互いにバランスを取り合います。仙腸関節を開いて出産し妊婦さんが重心を再構築する上で大事なポイントとなります。
音素診や触診で反応があれば治療します。

考察
昔から「産後の肥立ち」と言って、21日間は安静にと言われていますが、現代医学では、その時期にオキシトシンなどの女性ホルモンが乳汁の生成に関与している事が分かっています。子供のアトピー性皮膚炎も、羊水の酸化が原因であるという説があります。

 以前、大学病院で羊水の汚れを指摘された患者さんに韓国で昔から作られている「竹塩」という酸化還元率の高い塩をお風呂に入れて1ヶ月間入浴して貰った事があります。

 次の検査で羊水の汚れが改善された事がありました。

羊水の汚れには、これを食したり入浴剤として使うと、体内で抗酸化作用が活発になり免疫力が上がるようです。
東京女子医大の佐藤 稔先生の著書「いのちの塩」を読み、実践した事が結果につながりました。

母親と赤ちゃんの元気の為に、我々も手伝える事があります。
女性は出産までの10ヶ月間、ある意味「神がかり」的な存在であると感じる事があります。

 体内にもう一つの生命を宿す。その営みをサポートさせて頂ける事に感謝しています。

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